戦法

「龍鷹戦記」の用語説明ページ、万覚帳の戦法編です
このページは兵法陣形に関わる用語について説明します

全用語基本単位部隊武装城郭兵器


用語 説明

(いくさ)
合戦、戦闘、戦場に集まり、彼我の軍勢がぶつかり合うこと。
前哨戦
(ぜんしょうせん)
決戦前の戦い。小競り合いや作戦前段階、決戦への布石など、勝敗ではなく、その戦自体が後々に大きな意味となる。
矢合わせ
(やあわせ)
合戦の序盤に行われた弓矢の応酬。鉄砲戦も含まれた。接近戦に突入する前の遠距離戦のこと。
白兵戦
(はくへいせん)
刀槍を振りかざす軍勢の接近戦。両軍入り乱れた乱戦となり、軍勢をまとめられるかどうかは部将の統率力にかかっている。
野戦
(やせん)
敵軍と城外で戦うこと。
攻城戦
(こうじょうせん)
敵の城を攻める戦。
籠城戦
(ろうじょうせん)
城の防御力を利用して戦うこと。城に籠もることを「籠城」と呼ぶ。
采配
(さいはい)
戦の折、大将が軍勢の指揮や合図の時に用いた道具。また、指揮することを言う。
合図 烽火
(のろし)
狼煙とも。火をおこし、その煙で遠方の味方に急を知らせるもの。燃やすものの材料次第で煙に色を付けるなどして情報を付加した。
寄せ太鼓
(よせだいこ)
押し太鼓とも。攻撃開始を告げる太鼓の音。また、総攻撃の時に鳴る音。急ピッチに叩かれる。
退き太鼓
(のきだいこ)
退却の時に叩かれる太鼓の音。間延びした音色で叩かれる。
兵法
(へいほう)
戦略や戦術など軍略のことを指す。また、同じ字でも武術を表すものは「ひょうほう」と読む。
戦略 刈田
(かりた)
刈田狼藉と同じ。敵地の水田の稲を刈り取ること。青田を刈って生産力を低下させたり、収穫直前のものを刈り取り、自信の兵糧にするなどがある。
守備側は自分だけでなく、領民の生活を守るために阻止しなければならず、攻め手は守り手を城外に誘き寄せるための戦法として用いた。
半途撃つ
(はんとうつ)
川を利用した防衛戦略。敵軍が川の半ばまで到達し、身動きが鈍っている時に一斉に弓鉄砲を浴びせかけて撃退する戦法。また、敵軍の半ばが川を渡り終えた時に攻撃を加え、その渡河途中の戦力が合流する前に大打撃を与える。
分進合撃
(ぶんしんごうげき)
戦略を戦術にまで持ち込んだ戦法。それぞれ別ルートを進軍していた軍勢が所定の戦場に一気に集まり、敵軍を打倒する。しかし、その意図が悟られれば各個撃破される可能性があり、機密を守り通すことが勝敗を分かれさせた。
攻撃
戦術
車懸かり
(くるまがかり)
一点突破の捨て身の攻撃。自軍の備を敵の備に叩きつけ、本陣自ら敵本陣に突撃する戦法。攻撃一辺倒の総攻撃である。
敵の備を引き剥がすためには敵正面からぶつからず、敵布陣の横方向から攻撃を加える必要がある。この様が車輪のようだったことが名前の由来である。
総掛かり
(そうがかり)
総攻撃のこと。総攻めとも。
力攻め
(ちからぜめ)
我攻めとも。兵の損耗を無視して正面から攻めること。犠牲が出る分、勝敗を早く決することができる。
奇襲
戦術
朝駆け
(あさがけ)
奇襲攻撃の一。夜闇に隠れて移動し、夜明けと共に敵陣の攻撃を仕掛ける戦法。
伏兵
(ふくへい)
軍勢を隠すこと。また、その軍勢のこと。伏せ撃ちとも。
釣り野伏せ
(つりのぶせ)
釣り野伏せりとも。伏兵戦術であり、前進した軍勢が敗勢を装って伏兵のいる地まで敵を誘引する。
単純だが、勝ちに乗じて追撃することは当たり前であるので敵軍がやってくる可能性は高かった。問題は敗勢をまとめ上げる部将の統率力であり、失敗すればそのまま全軍潰走の危険性があった。
夜討ち
(ようち)
奇襲攻撃の一。夜襲のこと。
撤退
戦術
繰り引き
(くりびき)
軍勢を順次退き上げること。また、撤退戦において、二つの部隊が交互に援護しながら引き上げる戦術。
捨てがまり
(すてがまり)
撤退に当たり、鉄砲隊を置き捨て、その鉄砲隊は全滅するまで射撃を続ける。この時、足軽ではなく、兜首を狙撃して敵に損害を強いた。
長柄
戦術
槍絡み
(やりがらみ)
長柄戦術の一。敵長柄隊の長柄槍に対し、長柄槍を絡めることで押し合うことで敵の隊列を崩す。ただ、押し合いに負けると自軍が崩される。
槍衾
(やりぶすま)
長柄戦術の一。穂先を前方に一斉に突き出す。自軍に優勢な時の突撃や劣勢を挽回する時などに使われる。また、敵騎馬隊の突撃に対しても有効。一列だけでなく、数列並んで上中下と突き出すと槍で長柄足軽が見えなくなるほどの密集隊形を作れる。ただ、高い訓練度を必要とした。
鉄砲
戦術
車撃ち
(くるまうち)
鉄砲戦術の一。数段に鉄砲隊を分け、射撃を終えた段はそのまま装填作業に移り、後方の段が前に出てきて発砲する。鉄砲隊がまるで回転するように前進することから名前が付けられた。
三段撃ち
(さんだんうち)
鉄砲戦術の一。鉄砲隊を三段に分け、一段ずつ撃ち放ち、射撃の間断をなくす戦術。

戦術
指矢懸かり
(さしやがかり)
弓戦術の一。弓矢は速射性に優れるという特性を利用し、敵鉄砲隊に矢継ぎ早に矢を射掛け、敵の動きを封じ込む。一種の弾幕戦術。
両懸かり
(りょうがかり)
弓戦術の一。鉄砲と弓矢を矢継ぎ早に敵軍に浴びせかけ、その動きを止めたところに長柄隊などの白兵戦部隊が突入する。
騎馬
戦術
乗り切り
(のりきり)
騎馬戦術の一。敵が浮き足立った時、少数で打ち込んで敵隊列の混乱を拡大させる。
乗り崩し
(のりくずし)
騎馬戦術の一。勝機と見た時、騎馬隊を突撃させ、その隙間を歩兵隊が拡大して一気に押し崩す。
乗り込み
(のりこみ)
騎馬戦術の一。布陣して間もない敵軍に騎馬隊のみで突撃を懸ける。敵の備に混乱を強い、勝機あれば全軍突撃する。
攻城
戦術
兵糧攻め
(ひょうろうぜめ)
敵城の周囲を囲み、敵の兵糧が尽きるまでの長期戦とする。力攻めに対して被害は少ないが、時がかかることと自軍の兵糧が相手を上回る必要があった。
水攻め
(みずぜめ)
敵城を包囲するために土木工事によって川の流れを変えるなどして城の周囲を水没させる戦法。
対抗
戦術
竹束
(たけたば)
戦場で用いられた盾。数本の竹を筒状に組み合わせて作られた。竹本来の防御力と形状から受け止めるか弾き飛ばすかで弾丸を防いだ。約半町までならば弾丸を受け止めたという。
長柄倒し
(ながえだおし)
長柄は懐に潜り込まれるとうまく扱えない、という短所を攻めるもの。徒歩武者を中心とした白兵戦部隊が長柄隊に乱入し、斬り倒す。
馬防柵
(ばぼうさく)
騎馬突撃を防ぐための柵。二、三重に渡って立てられ、騎馬隊の機動力を殺した。縦木と横木を組み合わせ、隙間から鉄砲を撃てるようにしたものが鉄砲戦術が取り入れられた後に考案された。
陣形
(じんけい)
野戦に当たり、彼我の兵力、戦場の地形などに合わせ、軍勢の布陣のさせ方が違う。その軍勢の配置を陣形という。
陣形は『吾子』や『孫子』などの軍学書には8つ紹介されており、これを「八陣」という。
八陣 偃月
(えんげつ)
八陣の一。3つの備が湾曲した半月形に布陣し、その後方に本陣を配置する。
両軍同士が小勢であり、敵軍が鋒矢や魚鱗にて突撃してきた場合、その勢いを受け止め、包囲していく陣形。
鶴翼
(かくよく)
八陣の一。鶴が翼を広げたように突進してくる敵を中央で迎撃する間、両翼が包み込む陣形。扇の形に似る。
自軍が敵軍に対して数的有利を確保している時に選ばれる。
雁行
(がんこう)
八陣の一。主力が斜めに布陣し、敵の動向によって魚鱗や鶴翼に変化できる陣形。ヨーロッパの斜行陣に通じる。
中央で敵主力を受け止め、側面の備を一斉に叩きつけて撃ち崩すことが可能。
魚鱗
(ぎょりん)
八陣の一。先鋒などの備で鏃の形に布陣し、一気呵成に突撃する攻撃的な陣形。名前は形に由来する。
敵に対して小勢であり、一点突破を図る場合に用いられることが多い。
衝軛
(こうやく)
八陣の一。第一陣が鶴翼、第二陣がそれを援護するように布陣し、本陣の周りにも雁行のような斜めに布陣する備を配置する。
多方面からの攻撃に対応でき、自由を束縛する意味を持つ名前通り、敵軍を受け止めてその動きを束縛する効果を持つ。
長蛇
(ちょうだ)
八陣の一。全軍が蛇のように蛇行して布陣する。周囲全ての攻撃に対応できる。
攻撃されれば、全ての備が対応に動き出すことが武器なので、各備の連携が必須。
方円
(ほうえん)
八陣の一。本陣を最も守りの厚い中央部に置き、その他の備で取り囲み、あらゆる方向へ対応できる守りの陣形。
敵勢力圏での野営や敵中に孤立して助けを待つ場合に採用される。
鋒矢
(ほうし)
八陣の一。先鋒以下を鏃の形にするのは魚鱗と同じだが、魚鱗にはあった両翼の展開は小さく、それだけ前方の突進力に集中する。
先鋒と共に本陣も突撃することが多く、小勢で大軍に立ち向かう際に採用された。
現象 友崩れ
(ともくずれ)
軍勢が連鎖的に退却すること。戦場において致命的であり、大将は何としてもこれを阻止しなければならなかった。
崩壊の原因から原因から流言による「聞き崩れ」、味方が崩れるのを見て崩れ出す「見崩れ」などがある。また、戦っていないはずの後方から崩れることを「裏崩れ」という。

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