設問1
「道が左右に分かれている。一方が正解の道であり―――」



設問1
『道が左右に分かれている。一方が正解の道であり、もう一方には罠が存在する。無事、正解の道を選べば次の扉が現れるだろう。なお、罠を回避してもその先に道はない』



「これが設問、ね」

 綾香は肩に大鎖鎌を背負って呟いた。

「ってか、ヒントも何もないのか」

 一哉はご丁寧に道に刺されていた木の看板を調べている。しかし、問題文以外のヒントはなかったようだ。

「どうするの?」

 瀞は左右の道を見比べているが、両者に差異は見られない。

「晴也、何か分かる?」
「んにゃ、さっぱり。道が続いて・・・・途中から<風>を受け付けない」

 お手上げとばかりに肩をすくめる晴也からは難問に直撃した時の焦燥は感じ取れない。

「・・・・あんた、何企んでるの?」

 その言葉に一哉や瀞まで晴也を見遣った。

「いや、この程度難問でも何ともないだろ。こっちには綾香がいるんだぞ?」

 ぽんっと肩に手を置かれる。

「・・・・その根拠を聞こうか?」

 その手を手に取り、にっこりと笑ってみる。

「野生の勘でズバッと―――トトトトトッ!!!」

 とりあえず、予想通りの答えだったので電流を流してみた。
 現実ではないので、雷術使い放題とは便利だ。

「ま、どちらにしろ、山勘になるのは仕方ないわね」
「じゃあ、山神が決めろよ」
「・・・・熾条、あんたまで何言うのよ」

 半眼で一哉を睨む。

「晴也のお墨付きだろ? 一緒に死線を潜ってきた奴の言葉だ。お前の判断には助けられた部分も大きいんだろ」

 放り出したのではなく、一応、綾香の勝負勘に賭けてくれたようだ。

「うん、私はそれでいいよ」
「いちやとしーちゃんがいいなら、あかねもいいよっ」

 視線で意見を伺うと、瀞と緋は笑顔で一哉に賛同した。

「はぁ・・・・。ま、スケープゴートはいるからやってみますか」
「・・・・もしかして、それって俺のことですか?」

 プスプスと煙を発していた晴也は痙攣収まらない体で挙手する。

「当然、あんた先頭切って右の道へ行きなさい」
「・・・・・・・・・・・・うぃ」

 逆らうことに疲れを感じたのか、晴也はふらふらした足取りで右の道へと歩いて行った。
 慎重な足取りではないところを見ると、まだ電撃で判断力が低下したままのようだ。

「よし、じゃあ、左の道へ行きましょ」

 そう言って、綾香は晴也とは別方向へと歩き出す。

「え!? 右じゃないの!?」
「あっちはあたしの勘では罠の道よ」

 テクテクと歩きながら答える綾香を慌てて瀞は追いかけてきた。
 その後ろには一哉と緋が続いている。

「で、でも、そうだったとしたら結城くんは・・・・・・・・」
「大丈夫大丈夫。こういう時の罠って言うのは―――」

『ぅわぁーっ!? 床が抜けたぁ―――・・・・・・・・・・・・』

 背後から徐々に遠ざかる悲鳴。

「落とし穴と相場で決まってる」
「えぇ―――ッ!? 全然、大丈夫じゃないよッ!?」

 綾香が瀞の非難をスルーして角を曲がった時、その向こうに扉が出現した。


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