「銀杏の落葉」/八
八咫烏は日本神話に登場する三本足のカラスであり、神武天皇を熊野国から大和国へと道案内したとされる。 このため、導きの神として信仰される一方で、太陽の化身ともされている。 古くから豊後にあった冬峯氏は瀬戸内の航海と航路の先に臨む朝日からこれを家紋とした。 しかし、冬峯氏にはもうひとつ大切な信仰が存在する。 それが霊装・≪西寒多≫だ。 豊後の西寒多山(現本宮山)に神功皇后が三韓征伐からの帰途に立てたとされる白旗から製作されたと伝わる一品である。 とはいえ、続く戦乱の世に改造され、白旗の柄が長くなり、先端部に刃をつけて鉾化していた。 元々、冬峯の「峯」も本宮山や霊山、障子岳からなる山群を意味している。 このため、この地域と冬峯氏の関係は深く、≪西寒多≫の使用条件となっていた。 銀杏軍団は今回の乾坤一擲の作戦にこの霊装を投入しており、それがまさに龍鷹軍団本陣に向けて振り下ろされようとしていた。 本陣突入scene 「―――どけェッ!」 冬峯勝信が振るう≪西寒多≫の穂先が挑みかかってきた龍鷹軍団の武者を貫いた。 勢いよく引き抜かれた後、傷跡から噴き出した血が≪西寒多≫を濡らすが、白旗が染まることはない。 味方を一撃で屠った勝信に怯むことなく、龍鷹軍団の武者は勝信に槍をつけようとする。だが、そうそう何度もそれを許すほど勝信の馬廻衆も弱くなかった。 結果、両者の間で激しい戦闘が勃発している。 (さすがに・・・・堅い・・・・ッ) 勝信は寒空というのに垂れてくる汗を拭いながら思う。 龍鷹軍団の本陣は武者比率が高く、よく訓練されていた。 (奇襲効果も切れてきたか・・・・) 飛んできた矢を避け、代わりに拾った石を投げつける。 (侯王自身が個人武勇に自信がないからか) 忠流が弱いからこそ、自身を守るために個人戦闘力の高い馬廻衆を揃えたのだと予想した。 足軽が少ないため、正規の戦いは不得手かもしれないが、遭遇戦などの非正規戦では強さを発揮する。 (やっかいだな・・・・) 最初こそ混乱していたのか、蹴散らすことができた。しかし、立ち直った近衛は主君を守るために獅子奮迅の働きを見せている。 損害割合は冬峯勢の方が多いだろう。 (こっちだって、一応かき集めた精鋭なんだけどな) 勝信率いる奇襲部隊は各部隊から腕利きを集めた特別部隊だ。 他の銀杏軍団の部隊の同数と激突しても確実に撃破できる自信があった。 (・・・・まあ、さすがに兵力差もあるか) 勝信隊は五〇〇。 一部は未だ虎口周辺に布陣していた敵部隊と戦闘中だ。 (だが、問題なく進めるのはこれのおかげか) 勝信は≪西寒多≫に意識を向ける。 この霊装の効果は"軍旗"としての、精神的支柱だ。 まだ旗印がない頃から部隊のシンボル的存在であった旗は、周辺の将兵の心の拠り所だった。 これを掲げる限り、彼が指揮する部隊の戦力を底上げできる。 とはいえ、力の前借りに近いので、効果が切れた瞬間に疲労感に襲われるのだが。 (急がなければな・・・・ッ) 寄ってきた徒歩武者数人をまとめて弾き飛ばし、さらに駒を進める。 勝信たちは決死隊ではあるが、必死隊ではない。 撤退することも考えなければならないのだ。 「―――ッ!? 見えたッ」 一斉に槍を突き出してきた中間らしき数人を霊術で吹き飛ばした先に、豪勢な幔幕があった。 急いで前進してきたためか、周囲には逆茂木や馬防柵は見当たらない。 また、馬廻衆の多くも迎撃に出ているのか、幔幕前に立っているのは十数人だった。 (あいつか・・・・ッ) 十数人の中でも一際目立つ金色の前立。 錆地二十四間金銅製鍬形龍頭前立二片白星兜鉢に本小札黒漆紺糸縅胴丸具足というザ・殿様を地で行く豪華な甲冑だ。 さらには右手に片鎌槍を持っている。 あれが噂に聞く龍鷹侯国の至宝・≪龍鷹≫だろう。 「杵築城主・冬峯勝則が嫡男、勝信! いざいざ!」 馬腹を蹴り、一息に突き通さんと突撃した。 見る見るうちに忠流が迫り――― 「やらせると―――」 「―――思うか!?」 「―――っ!?」 突き出した穂先が横に弾かれ、馬が力尽くで止められた。 馬上で体勢を崩された上に馬のみ急制動をかけられた勝信はその反動で大きく前方に飛び出す。 (な・・・・っ) 宙返りの要領で受け身を取ろうとした勝信の視界には馬とがっぷりと組み合った少年とその傍に着地した少年が見えた。 体格こそ立派だが、その相貌は幼い。 そんな元服したかどうかの年齢ふたりに屈強な騎馬武者の突撃を封殺されたのだ。 「くっ」 勝信は幔幕を巻き込む形で地面に落下。 そこに槍をつけようとしたへっぴり腰の中間を≪西寒多≫で殴り倒した。 「薩摩侍従殿、一騎討ちを所望いたす!」 立ち上がって一騎討ちを持ちかける。 「確かに俺は薩摩侍従だが、分家の嫡男如きと一騎討ちはしない」 「なっ!?」 まさか真正面から拒絶されるとは思わなかった。 拒絶するにしても「先に誰々を倒せ」と言われると思っていたのだ。 そうなれば、その誰々と一騎打ちをしてから仕切り直しとなる。 その場合、ここで勝信が兵力で磨り潰されることはなくなるのだ。 『戦ったら負けるからね』 「うるさいわ」 何やら槍が喋って、それにツッコミを入れているが、勝信には関係ない。 「おうおう、兄ちゃんよ、派手にぶっ飛ばされておいて、俺たちを無視すんなッス」 そんな忠流の前にズズイと出てきたのは先程の少年たちだ。 「長井弥太郎忠勝ッス」 「えーっと、加納忠猛です」 ひとりは大きく胸を張り、もうひとりはペコリと頭を下げる。だが、体格は並の大人より屈強で、先ほどの技量から高い戦闘力を持っていることが窺えた。 「侍従、こちらが貴殿の護衛か?」 「まーな。期待の新人ってやつだ」 『戦闘力に関してはすでに周回遅れですけどね』 「いや、だからお前は黙ってろよ」 槍と漫才をする忠流に呆れつつ、勝信はふたりに視線を戻す。 忠勝は泰然と、忠猛は基本に忠実な構えを取っていた。 ふたりで勝信を相手にするつもりなのだろう。 だが、それは時間のない勝信にとってもありがたいことだった。 「できれば子供は斬りたくないんだけどなぁ」 「ご安心を。僕たちは元服済―――」 「―――フッ」 「危ね!?」 発言で呼吸の乱れた忠猛へと一気に距離を詰めたが、隣の忠勝に弾かれた。 「ずっけぇぞ!」 「死合に卑怯などない!」 勝信はそのままふたりとの戦闘に突入する。 それは各々の剣技と霊術が入り交えた激戦となった。 「―――ぅわー・・・・」 忠流は目の前で交わされる高次元の激戦に感嘆の息をついた。 忠勝は肉を切らせて骨を断つ戦法(ただし持ち前の防御力からそう簡単に肉も切らせない)。 忠猛は素早さによるヒット&アウェイ。 そんな異なるふたりの攻撃を勝信は正面から受けて弾き返している。 さらに追撃も加えており、見るからに互角。 ただ一対二であることを考えると勝信をふたりで抑え込んでいるように見えた。 『・・・・あのふたりって強いんですよね?』 「うん。俺だと立ち合いの瞬間地面に転がされている」 『いえ、あなただと誰でもそうなるので比較対象になりません』 ≪龍鷹≫と化している紗姫に言われ、「それもそうか」と納得する時点で忠流の個人武勇に対する諦めが分かる。 「ふたりならたぶん、郁にも勝てるし、信輝ともいい勝負になると思う」 『すごい強いじゃないですか』 今は前線を進んでいるふたりだが、少し前まで忠流の護衛をしていた。 なるほど、彼らに匹敵するのであればこのふたりに護衛が引き継がれたのも納得できる。 『・・・・あれ? ということは彼らと互角以上に戦っている御仁は・・・・』 「控えめに言っても化け物だな」 近衛衆は士分の子弟が多いが、七光りではなく、実力主義部隊だ。 士分比率が高いのは単純に幼少から剣技に触れる機会が多いからに他ならない。 採用機会自体は均等だった。 それ故に集団戦闘はともかく個人技が生きる乱戦には強い。 本陣が攻撃される機会など不意遭遇戦か無理矢理な突撃しかないのだからこれで十分なのだ。 ただ今回のように無理矢理な突撃を成功させてしまう逸材が相手では、フォローしきれない事態が生まれてしまう。 (真正面から力で突破されるとはなぁ) 態度では余裕を崩していないが、文字通り忠勝と忠猛が最終防衛線だ。 ふたりが突破されると忠流の首と胴体は永遠の別れを告げるだろう。 「しかし、強いな・・・・」 突きかかった忠猛の手槍が弾かれ、反撃に繰り出された旗付きの槍を躱し切れずに鎧に当たった。 火花が散り、衝撃に顔を歪める忠猛。 そんな彼への追撃の一撃を受け止めるために間に入った忠勝が槍を水平に掲げる。しかし、振り下ろされた勝信の槍は忠勝の槍に当たらず、そのまま忠勝の胴体を打つ。 結果、後ろにいた忠猛諸共弾き飛ばされた。 「ぐへっ」 「・・・・っ!?」 甲冑の重量は鎧を合わせれば自身の体重の三割は優に超える。 転倒するだけでその重みは自身へのダメージとなった。 『はわわっ』 忠流は慌ててふたりの背後に走り直すが、その時に武器である≪龍鷹≫が慌てるのは如何なものか。 「大丈夫か?」 下手に手を貸すと邪魔になるので、やや離れた場所からふたりに声をかける。 「大丈夫ッス」 「ええ、どうにか致命傷になることだけは防いでいますから」 ふたりの体には擦過傷や打撲が見られるが、刺突痕や骨折は見られない。 それだけうまく躱しているということだ。 「・・・・あれ? 受けきれていないのか?」 体に傷を負うということは攻撃を武器で受け止められていない、躱していないことを意味する。 ふたりの技量であれば、攻めきれないにしても守れないことはないだろうと思っていた。 「いや、何か変なんスよ」 「ええ、何か集中できないというか・・・・。気が付いたら穂先が目の前にあるというか・・・・」 ふたりして首を捻った。 「ハァ・・・・ハァ・・・・。驚きだな、ここまで耐えられるとは。天性の才能とは恐ろしいものだ」 勝信も疲れているのか、肩で息をしながら言う。 『・・・・なるほど、それがその霊装の能力ですか』 「能力?」 『"槍についた旗"ではなく"旗についた槍"が正解です』 旗には視線を集める効果がある。 それはその存在で士気を高めるという意味だが、もうひとつ"視線を集める"ことが重要だった。 「つまり、視線の誘導や錯覚・・・・」 「旗に気が取られている内に槍が迫っていると・・・・?」 紗姫の考察に忠流と忠猛が呟く。 その呟きから≪西寒多≫の能力を理解した忠勝が一言。 「ぅわ、ずっけぇ」 容赦ない一言に勝信は苦笑を浮かべた。 「戦場ではズルいは誉め言葉だなぁ」 「その意見には大いに同意する」 忠流が大真面目に頷く。 「そのズルさで討たれようとしている人の言葉とは思えないッスね」 忠勝が肩をすくめるが、忠流は無視した。 「常時発動型だとどう考えても霊力の燃費が悪い。そう長い間戦えないだろ」 この一戦だけでなく、おそらく奇襲開始から続けているはずだ。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 勝信は答えなかったが、それが忠流の予想が当たっているという返事でもあった。 「時間さえ稼げればこちらの勝ち、ですか?」 忠猛が確認する。 「そういうことだな」 「なんかそれは釈然としないッスね」 忠勝は不満そうだ。 「いや、ここでもそうなんだけど、"戦場全体"でもそうなんだよ」 「・・・・何?」 「この俺が銀杏軍団の来襲を予見していなかったとでも思うか?」 ニヤリと笑う忠流。 忠流の対外評価は"謀略家"もしくは"戦略家"である。 戦闘前に戦場を整えるのが得意、という評価だった。 『いや、めちゃくちゃ動揺してたよね?』 「カッコつけさせろよ、おい!?」 槍に暴露され、決まらない。 「ま、正直、府内城からの出陣を悟らせないこと、鶴賀城から直接本陣に突撃してきたことには驚いた」 忠流は再びニヤリとした笑みを浮かべる。 「だが、"戦場が大野川東岸である"ことには変わりない」 「―――ッ!?」 思わぬ初手で驚いたが、作戦は予定通りだ。 だから、時間が経てば追い詰められるのは勝信――銀杏軍団なのだ。 「なら、ここで討ち取って―――」 勝信が≪西寒多≫を構え、突撃しようとした、その時――― ―――カンカンカン、カンカンカン、カンカンカンッ!!!!! 「ッ!? 何!?」 鶴賀城の方からけたたましい半鐘の音が聞こえてきた。 「さすが。想定よりも早かったな」 半鐘の音は忠流に対する合図ではない。だが、忠流にはなぜ鶴賀城が慌てているのかが良く分かった。 「チッ」 勝信は槍の穂先で上空を指す。 そうすると自然に旗がはためき、周囲の視線が彼に集まった。 敵味方の視線を集めた彼は忠流向けて走り出す。 「最後の突撃か!?」 忠流は叫び、慌てて槍を構え直そうとした。 「やらせは―――」 「――しな・・・・い・・・・?」 そんな頼りない忠流の前に出た忠勝と忠猛がたたらを踏む。 旗に視線を取られ、それでも忠流を守ろうとしたふたりの前を勝信が走り抜けたからだ。 「「「・・・・え?」」」 驚く主従をよそに、勝信は馬に飛び乗ると一気に槍を旗のように掲げながら走り出した。 向かうは鶴賀城の虎口だ。 「「に、逃げた!?」」 忠勝と忠猛が驚く中、忠流は安堵の息をついた。 (あのまま死に物狂いに来られると危なかったかもしれん) 「御館、追うぜ!」 「追うな」 走り出そうとした忠勝の足元を≪龍鷹≫で払う。 「え、どうしてッスか?」 当然のように飛び跳ねて避けられたが、忠勝は止まってくれた。 「見て見ろよ」 顎をしゃくって虎口方面を示す。 「・・・・ぅわー、早ぇ・・・・」 素早く部隊をまとめた勝信が落ち着き始めていた旗本衆に突撃して再度混乱させていた。 彼らはそのまま虎口を抜けて鶴賀城へ撤退していく。 「・・・・これじゃあ押し返したってより―――」 「―――見逃された、に近いッス・・・・」 台風のように暴れ回り、どうにか堪えたところで突然晴れ渡った。 結局、自分たちは何もできなかった。 その想いに近衛たちは打ちひしがれる。 「別にいいだろ」 「ちょっ」 忠流は≪龍鷹≫を紗姫に戻し、その痩身にもたれかかった。 慌てて支える紗姫を尻目に、忠流は周りの近衛を見回す。 「俺たちの勝利だ」 冬峯勝信たちは鷹郷忠流の首を狙って来襲し、失敗した。 その戦略的勝利を得たのは忠流以下近衛衆である。 これは文句なしの勝利だ。 「その割には崩れ落ちそうなほど落ち込んでいませんか?」 「お~も~い~ッ」 紗姫が顔を真っ赤にして支えているので、本当に脱力しているのだろう。 おまけに甲冑の重みが加わっており、少女の細腕にはつらい。 「馬鹿言え。これは安心したら腰が抜けただけだ」 「カッコ悪ッ!?」 「もうダメ!」 「お? ぐわぁッ!?」 忠勝のツッコミと共に限界に達した紗姫が忠流を横に流した。 結果、忠流は受け身を取れずに大地に叩きつけられる。 「ぐふっ」 「あー・・・・負傷者一名、手当をお願いしまーす」 緊張感のない声が本陣に響いた。 だが、そんなのどかな光景が広がるのはここだけであり、他の地域では血で血を洗う激戦が展開されていた。 ―――そのひとつに、大野川西岸が含まれていたのである。 「―――体調不良でもただ寝てるだけではないというところがうちの御館っぽいよな」 「まあ、じっとしていられない人ですからね」 長井衛勝は意外と揺れる中、仁王立ちで呟いた。 それに応じる側近も槍を支えに立ったままだ。 「時間を無駄にしない精神は見習いたいものだ」 彼が乗っているのは筏だった。 これは部隊の入れ替え等で休止していた期間に伐採した木々で先程作ったものだ。 簡易的であるが故に河川船のような丈夫さは当然ない。 だが、今回の用途では喫水が浅い方が都合が良いのだ。 「武藤勢、発砲を開始しました」 先を行く武藤勢が敵軍へ射撃を開始する。 鶴賀城からうるさく鳴り響く半鐘の音をかき消す勢いだ。 敵も応戦しようとするが、如何せん距離が離れすぎていた。 敵の弾丸は手前の水面を叩き、武藤勢の弾丸は釣り出された敵鉄砲足軽を射抜く。 結局、敵軍は川から距離を取り、上陸地点が確保された。 「単純な奇襲で終わらないところが、戦術家ではなく、戦略家と言われる所以か・・・・」 長井勢と武藤勢は鶴賀城南西から北西に流れる大野川の水運を利用し、約三五〇〇が一気に川下りに興じた。 軍勢は筏で鶴賀城西方を抜け、戦場となっている大野川東岸を臨む。 そこでは神前勢が必死の防戦を続けていた。 (ちと、神前殿には申し訳ない気持ちはあるが・・・・) 武藤勢は神前勢を攻撃する銀杏軍団の背後に鉛玉を浴びせて怯ませる。 「―――上陸後、速やかに制圧せよ!」 そんな中、長井勢は大野川西岸に上陸した。 目指すは鏡城。 その後は敵の渡河点――大野川と判田川の合流地点。 その距離はわずか一里。 先にも述べた通り、大野川は鶴賀城北方で大きく東に流路を変える。 銀杏軍団主力が展開する地域は西と北に大野川、南方に龍鷹軍団、東方に丘陵部に挟まれている。 大野川の渡河点は北西の判田川合流点と北東の松岡地区しかない。 判田川合流点を抑えられた場合、松岡地区まで撤退するのにどれだけの犠牲が出るか。 また、判田川合流点を抑えられた時点で、銀杏軍団は大分川と大野川に挟まれた寒田地区の失陥を意味する。 この地区から大分川を越えられた場合、大分府内までに龍鷹軍団を遮るものは何もない。 つまり、この戸次決戦の敗北だけでなく、戦役自体の敗北の王手がかかった状態となったのだ。 銀杏軍団の決死の猛攻を押し返すだけでなく、戦役全てに決着をつけるべく忠流が打った策。 それが最強軍団川下りだった。 |