第六章「炎神の末裔」/ 4
京都結城邸。 深夜の地下室では青年の悲鳴が響いていた。 「―――はい。これも御願いします」 ドンと置かれる資料の束。 「ちょっと待てっ。さっきの倍の量はあるぞ!?」 宗主である晴輝は秘書の佳織に文句を言う。しかし、その威勢は全く発揮されることがなかった。 「だから?」 ヒュオウ、と地下室に冷気が流れたような気がした。 「スミマセン」 凍てつく視線を間近から浴びた晴輝はやや震えながら言う。 かなり立場が低い。 「これは今日中にやってくださいね」 「じゃあ、もう寝ていいか? すでに午前2時―――」 「ダメです。分かりました。寝るまでに終わらせてください」 即断され、晴輝は項垂れる。 「・・・・・・・・それは俺に寝るなと?」 「それは『宗主』次第ですよ♪」 ニッコリと笑む1歳年下の女性に晴輝は引き攣った笑みを返し、次の瞬間、真剣に引き締められた。 「先輩?」 その豹変に佳織は首を傾げたが、すぐに悟った。いや、悟らざる得なかった。 「―――宗主」 それは扉の向こうからの声。そして、声の主は分家――篠螺(ササラ)家の当主だ。 「何だ?」 「音川にて戦闘がありました。見事な結界で外界には全くバレていませんが・・・・気になることがありました」 晴輝は佳織を見遣る。 彼女はため息をついて書類の束を少々減らしてくれた。 「詳しく聞こう。入れ」 「はっ」 当主は襖を開け、机の上に積まれた紙の多さに目を剥いたが、賢明にもそれは無視する。 「日中に始まった戦闘は結界の精度などからおそらく鎮守家が関係している思われます。それに炎術師が―――」 「晴也から聞いている。統世学園に席を置く、熾条一哉なる熾条宗家の縁者が何やら戦準備をしていると」 「はい。おそらく、彼が戦闘に出たのでしょう」 「うむ・・・・。敵は?」 晴輝は戦闘の臭いを感じ取ったのか、人が変わったかのようだった。 この表情を佳織は一度だけ見たことがある。 それは5年前。 教師連に立ち向かうと生徒会会議で発案した時だ。 真面目ではあったが、どこか演技していたように見えた晴輝の仮面が剥がれた時だった。 晴輝は"鬼神"という戦術家として畏れられているが、実は結城の嫡男らしく戦略家でもある。 「それが晴也様の言う通り、鬼族でした。逃げていく者を手の者が目撃しています」 ―――怪しいと思って晴海・晴也に内緒で術者を送り込んで監視させるほどの。 「引き続き警戒に当たれ。すでにあの2人にはバレてるだろ。何かあれば奴らにも報告してやってくれ。そして、現場の指揮は2人のどちらかに仰げ」 「分かりました。それでは―――がんばってください」 当主はしずしずと襖を閉めながら言った。 「できれば手伝って欲しいよ・・・・はぁ」 「さあ、先輩。頑張ってください」 にっこりと笑顔を見せる後輩。 「・・・・鬼」 「鬼はあなたでしょ♪」 (お前だよ・・・・) 晴輝は笑顔を浮かべる顔より少し上を見て思う。 そこに、晴輝は角を幻視していたのだから。 「さあ、ファイトです、先輩」 「もー、ダメ・・・・あ―――ぅおおおおおお!?!?!?!?!?!?」 「きゃあああああああ!?!?!?!?」 脱力した晴輝が机に倒れ込んだ振動で周囲の山が崩れ、見事に彼らは生き埋め状態となった。 渡辺瀞 side 「――― 一哉、遅いなぁ。あれから帰ってこなかったし・・・・」 瀞は野菜を包丁で切りながら時計を見る。 「―――ふん、約束を違えるなど・・・・上に立つ者としてあるまじきことですの」 不機嫌を孕んだ少女の声。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 その声に全ての動作を停止した。 ―――何故アノ方ハ我ガ物顔デ我ガ家ノそふぁーデフンゾリ返ッテイルノデショウカ? 「―――ちょっといつの間に入ってきたのかしら? 不法侵入で警察呼ばれたいのかしら」 皮肉を飛ばすこれまた少女の声。 ―――ッテ言ウカ、貴女モ何時ノ間ニ? 「ふん、私が入ってきたのを察知できないとは・・・・山奥で何をしていたのですの?」 「なっ!? 私たちは―――」 「―――えーっと、2人ともどうしてここにいるのかな?」 包丁を持ったままリビングへ行く。 そこには朝霞が瀞に背を向ける形でひとつのソファーに座り、正面に鈴音がもうひとつのソファーに上品に腰掛けていた。 「ふぇ? 今日も何か話すんじゃないのかしら?」 「お父様の息子です。動くというならば今日中にその成果を出しているでしょう。それを聞きに来ただけですの。別に夕食を頂こうとは思っていません故、あなたは私を気にせず、夕飯を作りなさいな」 朝霞はポニーテールのリボンを弄りながら、鈴音はペットボトルの緑茶を飲みながら各々に言う。 「ん〜、でも、もう遅いし・・・・。その口ぶりだとまだなんでしょう? 今日は材料いっぱいあるから食べていけば?」 すっかり2人がここにいることに順応し、微笑みを以て食事に誘う瀞。 ふわりと落ち着きを感じさせる笑みに2人は思わず顔を見合わせた。 「そういうことなら頂きますの」 「私も。あ、手伝いましょうか?」 振り向いた格好のまま手を挙げる朝霞。 「止めなさい。あなたの手の加わったものなど食べたくないですの」 「何ですって!? 私だってあなたと一緒に食べたかないわッ!」 「はいはい。喧嘩しない。じゃあ、2人で手伝って」 再びにっこり。 「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」 2人は不満そうにお互いを見たが、笑顔で退く気がないのを悟ると渋々という形で袖をまくりながらソファーから立つ。 「ふふ♪」 そんな姿に2人の可愛さを見留め、優しく微笑む。 「―――ただいまぁ」 ドアが開く音と、帰宅を告げる声がした。 「あ、一哉、遅―――」 2人に調理の指示を出し、瀞は一哉を出迎える。そして、一哉を見て、驚いた。それはもう心底驚いた。 「い、一哉!? その傷どうしたの!?」 見事にボロボロだった。 右腕の裂傷を始め、脇腹や太腿、首筋などに幾筋も赤い線が引かれ、そこから血が滴っている。 正直、その姿で町中を歩いていたのかッ、と問い詰めたいほどだ。 「ほとんど委員長にやられた」 「杪ちゃん? どうして?」 「―――勘違い」 「あ」 ドアの影から制服姿――こちらは無傷――の杪が姿を見せる。その制服にはわずかにだが血が散っていて容易に一哉の血だと判断がついた。 どうやらこの2人は何らかの手違いで戦闘に発展してしまったようだ。 「と、とりあえず、一哉は手当を」 「必要ない。"気"があるしな」 "気"は精霊と交信する源であり、術者の身体能力を上げるものだ。 身体能力を上げるのだから、当然、新陳代謝も上がり、治癒力も向上する。 「ダメ。ほとんど、一哉の"気"、すっからかんじゃない。あんなにあったのに何やったらなくなるの?」 素朴な疑問に一哉はさらりと答えた。 「探知術式を数時間維持してた」 「こっの非常識っ」 瀞は思わず包丁を突きつける。 「うおっ? 危ないなっ」 向けられた切っ先に驚きながらも一哉は中に入ってきた。 「委員長、とりあえず入ってくれ。そんなに物言いたげに見つめられても中の奴らと一緒に話した方が二度手間にならなくて済―――」 「―――はぁい♪ 毎月恒例――『管理人、気まぐれ家庭訪問』ですっ。元気〜」 ハイテンションで現れる一哉の天敵にしてこのマンションの管理人がフロアに姿を現す。 「あらぁ? お客さん?」 女性はそのまま、杪を中に押し込み、部屋の中を見た。 そこからは一哉と瀞、杪。そして、なかなか中に入ってこないので気になって見に来た少女2人の姿が一望できた。 「ふ、お盛んねぇ」 そう言って一哉に流し目を送る。 「「?」」 疑問符を浮かべ、首を傾げる中学生2人組。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 無言と無表情を貫く杪。 「・・・・・あぅ・・・・」 頬を染め、俯く瀞。 四者三様の反応を見て、管理人は満足したようだ。 「こら、不良少年」 「あ? 何だ? 無責任管理人」 一哉はこの人の前だとガラが悪くなる。 何かあったのだろうか。というかあったのだろう。 「ん〜、反論したいけど、待たせてるみたいだし、今日はここで帰るわ。―――じゃね、少女たち。それに鎮守さんも」 「・・・・ん」 杪はコクリと頷き、そのまま奥へと消えた。 どうやら知り合いのようだ。 「ふふ、店の方のお得意様なの。最近、軌道に乗ってきたのか、客足が増えてね。―――どお? 瀞ちゃん、バイトしない?」 「え?」 「『花鳥風月』っていう、和菓子と日本茶の専門店なの。高校生でも大歓迎だから♪」 管理人はウインクを寄越す。 「え、と・・・・考えておきます」 ピリピリしている一哉に気を遣いながらも当たり障りのない返答を返した。 「うん、気が向いたら1階の私の部屋に来てね♪ じゃ、adieu♪」 ヒラヒラと手を振って歩き去る。 その背中に手負いというのに半ば本気の殺気を浴びせていた一哉が、瀞の目には印象的だった。 余波に震えていたが、ふっととある事実に思いつく。 (あ、そう言えば一哉のケガに何も突っ込まなかった・・・・) 改めて管理人の偉人ぶりを確認したのだった。 「―――で? 説明して下さるの?」 食後、ズバッと鈴音が切り出した。 その視線は杪と一哉に向いている。 「今日の昼、鬼族の捜索隊と遭遇戦をした」 「「「―――っ!?」」」 ガタッと3人は身を乗り出した。―――持っていた飲み物が少し溢れ、瀞だけが慌てたが。 「それで?」 「1人を討ち取って1人を逃がした。まあ、こちらは右腕にけっこうな傷を負ったがな」 一哉は包帯を巻いた腕を見せ、苦笑してみせた。 「あ、こら。動かないで。まだ終わってないんだから」 瀞は急に動いた腕を戻し、包帯を巻いていく。 「討ったんだ・・・・」 と、朝霞は腰を下ろし、微笑み――― 「逃がしたのですの?」 鈴音はため息をついて腰を下ろした。 (対照的だなぁ) 瀞は反応を見て思う。 でも、2人とも素直だという点では一緒だ。 何故か統世学園で生活しているとこういう者たちが妙に新鮮に感じる。 「まあな。その後、委員長に襲われたんだけどな」 制服もボロボロだ。 かなりギリギリで避けたと分かる怪我が目立ち、杪の戦闘力の高さが窺えた。 (一哉をここまで追い詰めるなんてねぇ・・・・。結界師って強いのかな?) 鎮守家。 全国の封印の7割を管理する結界師のドン。 熾条宗家が目指す炎術師連合のように結界師連合を形成しており、全国の結界師一族の盟主に当たる名家だ。 旧組織が新組織に勝っている歴史の大半が鎮守家が保有する全国の結界だと言われている。 鎮守家は旧組織筆頭であり、その権力は精霊術師たち――宗家に匹敵するほどである。 「そういえばこの人誰かしら?」 根本的質問にようやく朝霞が至る。 「結界師総本山。鎮守家のご令嬢――鎮守杪」 「「えぇ!?」」 「どうしてそのような方に襲われるのですの!?」 「何で襲われるの!?」 ピッタシ。 「お前ら、実は相性がいいんじゃないか?」 「「否定して(なさい)!」」 「・・・・・・・・・・・・まあ、先に進もうか。―――鬼族との遭遇戦の前に鬼族が封印を破壊した。それを俺が破壊したと勘違いしたんだ」 「だから、さっき勘違いって。・・・・って待ってッ。鬼族が鎮守の封印を!?」 瀞がまとめようとして論点に気付いた。 「そう、それだ。どうやらただの鹿頭討伐だけじゃなさそうだな」 一哉は足を組んでその膝の上に頬杖をつく。 「そうだね。もしかしたら8月の蛇大発生と関係があるのかな?」 「ってことが分かればこの状況も分かるな?」 一哉はなるべく自然な笑顔で言った。 8月下旬。 あの時、石塚山系の封印が破壊されている。 それも正体不明の相手に。彼らと鬼族が関わりがある可能性があるとすれば杪の参戦は必至。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うぅ」 反論できないが、いろいろ葛藤があるのだろう。 瀞はソファーから立ち、部屋の隅へと移動した。 「いいもんいいもん。私は頼み込んで拒絶されて・・・・。いろいろ落ち込んだけど・・・・いいもん一哉なんて・・・・一哉なんて・・・・しくしく」 そのまま床に「の」の字を書き始める。 いじけモード、全開だ。 「瀞さん、このような者が兄で・・・・申し訳ありませんの。私の側に置いていれば・・・・このような輩にならずに済みましたのに・・・・本当に申し訳ありませんの」 「そうそう。気にくわなかったらぶっ飛ばしちゃえばいいのよ、あんな奴」 何故か鈴音と朝霞が側まで行って瀞を左右から挟んで慰めていた。 それはいいのだが、ギラリと睨んでくるのはどうかと。 「―――って、何故に距離を空けてるのかな、委員長?」 「?」 杪は首を傾げながら厳選したお茶菓子を頬張った。そして、それから湯飲みを口に運ぶ。 「・・・・とまあ、事後報告はこれくらいにして」 「ん?」 瀞の側から一哉の側にやってきた鈴音は探るような目つきで己の兄を見た。 「そろそろ、あなたがこれから何をするか教えなさいですの」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 一哉は長々と鈴音を見据える。 「隠しても無駄ですのよ。あなたが何かすることくらいお見通し。ですから、私もそれに加えなさい。あなたに格の違いを見せつけるいいチャンスですの」 「はい?」 一哉は言葉の裏に込めた鈴音の気迫を感じ取れなかったらしく、首を傾げた。 「・・・・い・い・か・ら、さっさと話しなさいですの」 「何か、するのかしら?」 前に流れてきた髪の毛を後ろに払いのけながら朝霞も乗ってくる。 「・・・・まあ、するな」 「私も参加してもいいかしら」 朝霞は興味を隠せない表情で言った。 「あ?」 「鬼族を相手にするんでしょう? だったら私を外す意味が分からないわ」 「・・・・確かにそう言われるとそうなんだが・・・・・・・・うげっ」 チラッと一哉が瀞を見遣る。 鈴音もその方向に視線を走らせると、拗ねた表情で「じぃ〜」と一哉を見る瀞がいた。 「・・・・はぁ、分かった分かった。ホントはちょちょいと刺激するだけだったんだが、ここは作戦を変えようか」 軽い調子で参加を認めた一哉はすぐに雰囲気を改める。 肌をピリピリと刺激された4人もわずかに表情を変えた。 「じゃあ、これは前哨戦でも派手なものになる。本気で鬼族を討ちにいくぞ」 「「「・・・・ッ」」」 「・・・・ズズッ」 隼人 side 「―――何? 襲われただと?」 音川町にあるビジネスホテルの一室。 「はい。それも1人、犠牲になったようです」 その部屋に宿泊する主に向け、あくまで冷静にその青年は報告する。 「何ィッ!? ケガではなく討たれたというのか!?」 バンッと机を打ち付けて立ち上がる鬼族首領。 今の衝撃でミシミシと机が軋んだ。 「落ち着いてください、隼人様」 「む・・・・」 冷静な部下の言葉に一気に頭が冷める。 「とりあえず、下手人ですが・・・・この町の学園――統世学園の制服を着ていたようです。さらに炎術も」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・鹿頭ではない、ということか?」 鹿頭の面々はほとんどが紀伊――つまりは和歌山県に集結していた。 この地にいるはずがない。 「そして、当初より統世学園の調査をしていた面々から恐ろしき報告が届きました」 「ん?」 「生徒会長――結城晴海を筆頭に1年生に結城晴也、山神綾香の名がありました」 「何!? 結城の直系に"風神雷神"だと!?」 隼人は目を剥いた。 さすがにここが結城の管轄下だとは知っていたが、こんな目と鼻の先に最大戦力が展開されていたことに素直に驚く。 「如何なさいますか?」 「むぅ・・・・」 側近の視線が隼人に決断を迫らせる。 その決断とは【結城】と戦闘状態に陥っても鹿頭を潰すか、ということである。 鹿頭と共闘することはないだろうが、鬼族は大軍である。 どこかで【結城】の術者とぶつかり、"風神雷神"などと戦うことになるだろう。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・四鬼は今どこにいる?」 「確認できているのは2名だけです。呼び寄せますか?」 「うむ」 四鬼とは隼人とは別の鬼族集団を率いる4人の総称だ。 隼人が率いる集団には名前もないし、隼人自体、鬼の名前を名乗っているわけではない。しかし、彼の率いる集団は鬼族最大であり、部族内での盟主的存在となっていた。 本当に戦いになった時は各部族単位で戦闘が行われる。 最大勢力は隼人の集団。 他の四部族を加えた鬼族集団は数百の戦力を有している。だが、それはバラバラに点在し、戦いがあると援軍を要請するという、そんな関係だ。 隼人の問いは自分の部族だけでは手に負えない、というものだ。 言い換えれば結城と戦闘も辞さないという不退転の意志とも言える。 「手配します。近日中に援軍がやってくるでしょうから・・・・本格的攻勢はそれからですか?」 「そうだな。だがな、斥候は多く出しておけ。今回のように襲われるかもしれんから3人一組だ。統世学園の制服を着た少年には無理に仕掛けるな、と通達しろ」 「了解しました」 青年は一礼して扉の信を掴んだ。だが、思い出したように振り向く。 「どうした?」 「はい、山陽道を張っていた者からの連絡ですが、熾条宗家の術者たちが西へと通過したようです。集団であったために手出しはできませんでしたが・・・・何をしていたのでしょう?」 「さあな。しかし、出て行ったのならば関係ない。敵は鹿頭。もしくは【結城】だけだ」 こうして、鬼族側の対策は完全に受け身に回った。―――よって、一哉が暗躍する。 同夜、とあるビジネスホテルにその触手が伸ばされていた。 |