ミッドウェー海戦 -4


 

「―――戦況の事実確認急げ!」

 戦場から遠く離れた大日本帝国大和田通信所。
 ここで傍受された情報に、所員は慌てふためいていた。
 まさかの空母「赤城」と「加賀」の被弾炎上。
 敵空母が出てくるのは分かっていたが、まさかこちらが被弾するとは思っていなかったのだ。

「落ち着いてください」
「「「―――っ!?」」」

 静かな声だった。
 しかし、妙な圧力を持って所員を打ち据える。

「状況確認など、現場がしています。我々は我々にしかできないことをすべきです」

 魔力を放出して所員を威圧した嘉斗は、ひとりの通信傍受員に向かって言った。

「米空母艦隊からの通信は?」

 敵艦隊への反撃を実施したことも伝わっている。
 その戦果報告はまだ日本艦隊からは発せられていないが、米軍からはどうなのだろうか。

「さ、作戦緊急電や平文の電信が飛び交っています」
「すぐに確認してください。平文ならこちらにも回してください」

 慌てている時ほど、暗号化を忘れて重要な情報を発信しやすい。

「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」

 しばらく、傍受内容を確認する無言が続いた。
 ここで非戦闘員の自分たちが騒いでも戦況は好転しない。
 だが、好転させるのに必要な情報を得ることができる。
 それを思い出したのだ。

「平文です。被弾した敵空母は『エンタープライズ』」
「同じく平文、駆逐艦が沈んでいます。艦名は不明」
「簡単な暗号を解読した結果、被弾艦は護衛を付けて後方へ退避するようです」
「つまり、『エンタープライズ』は航行可能で護衛を付けて退避。ということは、残りの敵はまだやる気ですね」

 空母「ホーネット」が残っているとはいえ、喪失艦が出ているのだ。
 諦めて退避する可能性もあった。
 だが、情報を精査するに、敵は戦闘続行を望んでいる。

「連合艦隊および第一航艦へ発信、『敵空母一、戦闘続行。空襲警戒を継続せよ』だ」

 所長が命じるとすぐに無電が発せられた。
 それは繰り返し発せられ、まもなくしてトラック島からも転送される。
 確実に前線が捉えられるように努力しているのだ。

「敵空母艦隊の北東より電信あり。敵空母部隊の電信に対しての返答のようです」
「・・・・気になりますね」

 北東に敵は発見されていない。
 この状況で潜水艦などに空母部隊から指示を飛ばすことはないだろう。
 ならば、十中八九、それは水上艦隊である。

「今、敵空母部隊が一番困っているのは何でしょうか」
「護衛艦艇ではないでしょうか?」

 敵は多くの損傷艦を出していた。
 後方退避する艦は多いのではないだろうか。
 そうなると「ホーネット」の護衛が少なくなる。
 何らかの目的で北東を航行している艦艇に援軍を頼んだ可能性がある。

「発信位置特定。空母艦隊位置から北東に・・・・・・・・300~400km離れています」
「遠いですね」

 護衛艦艇が20kt/hで救援に赴いた場合、両者が会同するのは早くても8時間後。
 こちらが第二次攻撃隊をいつ出せるかは分からないが、護衛部隊と合流前に攻撃する方が早いだろう。

「・・・・所長」
「どうした?」

 暗号解読員のひとりが神妙な面持ちで報告した。

「空母部隊が北東の部隊へ送った通信内容に、航空隊を示す符丁がありました」
「航空隊? ・・・・空母か!?」

 所長が驚愕の声を上げる。
 彼らはこの海域で活動している空母が2隻だと想定していた。
 「ヨークタウン」も「サラトガ」もドック入りしていることは確認している。
 それ以外の空母――「ワスプ」、「レンジャー」は大西洋にいたはずだ。

「欺瞞情報に引っかかったか?」
「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」

 情報部門として致命的な判断ミスだ。
 敵正規空母がもう1隻いるとなると、二航戦しかいない一航艦の不利は免れない。
 即時撤退しなければ、二航戦の2隻も失う可能性があった。


 正規空母4隻の一斉喪失。
 それは帝国海軍史上最大の悪夢だ。


「・・・・違うと思います」

 そんな悪夢を予想してしまった彼らに声をかけたのは、またしても嘉斗だった。

「違う、とは?」
「米軍はこちらの情報を掴み、ほぼ確実にこちらの進撃路を予想していたと思われます」

 だというのに戦力を分散配置し、しかも空母1隻を含む艦隊を後方に配備する戦略的思考は理解できない。

「十中八九、この艦隊は後方支援部隊です」

 だから戦場から離れた位置に配備した。
 普通なら工作艦を含む艦隊だろう。

「だが、航空隊の呼び出し符丁があった」

 場所が洋上であるため、陸上航空隊とは考えられない。
 ならば空母しかいない。

「空母は間違いないでしょう。ですが、後方支援部隊に配備する空母は正規空母ではないはずです。・・・・我らのように」

 この戦いで、日本海軍は一航艦以外にも空母を動員している。
 後方の連合艦隊主力部隊を護衛する「鳳翔」、攻略部隊を護衛する「瑞鳳」だ。
 「鳳翔」は正規空母だが、「瑞鳳」は違う。そして、2空母に共通する点もある。

「―――っ!? おい、その呼び出し符丁、"母艦航空隊"か!?」
「い、いえ・・・・。"初めて"見ます。航空隊であることは間違いないのですが・・・・」
「それは小型空母・・・・護衛空母だ! ―――大西洋に『チャージャー』はいるか!?」

 と言われても、さすがに大西洋の無線をここでは傍受できない。
 傍受員たちは困った顔でお互いを見遣った。

「『チャージャー』は数週間前に船団護衛で母港を離れ、二週間前にパナマ運河で"目撃"されています」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 答えたのは特務室第四課「実働」所属の嘉斗だ。

「北東の艦隊は護衛空母『チャージャー』を含む艦隊。それに連絡しているということは・・・・」

 航空支援要請しかない。

「連合艦隊と一航艦に連絡しろ。『敵護衛空母北東海域に遊弋中。航空機30機ほど作戦行動可能』だ」

 これで現場の司令部が想定している敵残存航空機数に30機が付け加えられるはずだ。

「敵さんも同じことをしていたんですね」
「ええ、考えることは一緒、ということですね」

 嘉斗と所長は苦笑を交わした。しかし、すぐに所長はその表情を引き締める。

「敵の無電を見逃すなよ!」
「「「はい!」」」

 まだまだ情報はあるはず。
 海軍上層部の期待を背負う、もうひとつの精鋭部隊は、見えない敵との戦いを継続した。



 彼らがもたらした情報は、後に実戦部隊がその期待と共に応えることとなる。
 それはもう数時間後の話だった。






第二次攻撃scene

 第二次攻撃隊。
 これを先に発艦させたのは日本海軍だった。
 第一次攻撃を受けた時にはすでに空母内で編成中だった分、早く準備ができたのだ。
 その戦力は艦戦20、艦爆20、艦攻18の計58機。
 艦隊防空に出ていた戦闘機はそのまま艦隊防空に残す(一部は損傷機のため出撃できず)。
 空中集結を終えた攻撃隊は、午前11時40分(現地時間14時40分)に出撃。
 彼我の距離から約1時間で敵艦隊上空に到達すると予想された。


 一方、米空母の攻撃隊が出撃したのは、日本軍に遅れること20分後である。
 その戦力はワイルドキャット14機、ドーントレス33機、デバステイター8機の計55機。
 日本軍とほぼ互角だった。
 早期に出撃できた理由は、第一次攻撃隊がほぼ壊滅したことによる、収容時間の短さだ。
 また、20機のワイルドキャットが艦隊防空のために後方から飛行中。
 これがそのまま艦隊防空に投入される予定である。しかし、彼らが味方艦隊上空に到達したタイミングは最悪と言えた。




「―――敵護衛戦闘機、味方の零戦に追われていますね」
「だな」

 日本時間の時針が午後12時40分を示す頃、第二次攻撃隊隊長・友永大尉は偵察員の言葉に頷いた。

(妙に動きが鈍かったしな)

 それには日本軍が知らない理由があった。
 後方支援艦隊に配備された護衛空母「チャージャー」に搭載されていた航空隊は、空母離発着ができるだけの新米パイロットだ。
 そんな彼らは苦労して到達した味方艦隊の上空で、日本軍攻撃隊の接近を知らされた。
 眼下の艦隊からの命令は、南西に飛行して敵を迎撃せよ、である。
 新米パイロットからすれば350km離れた艦隊までの洋上飛行は苦行だった。
 それなのにそこから戦闘である。
 しかも、相手は歴戦の搭乗員で構成された日本海軍の精鋭部隊。
 疲労もあり、同数・同高度で開始された戦闘はものの数分で完敗した。
 米空母艦隊は再び敵攻撃隊に、上空での自由を与えてしまったのである。

「敵、発見! ・・・・重巡らしき大型艦一、駆逐艦二!」

 大型艦の方は黒煙を上げてノロノロと動いていた。
 しきりに駆逐艦が対空砲を撃ち上げている。

「第一次攻撃で被弾した重巡だな」

(止めを刺しておくべきか?)

 今ならば確実に海中に叩き込める。

「・・・・いや、敵は空母だ」

 友永は首を振ってその戦果の誘惑を振り切った。
 手持ちの戦力で確実に空母を屠る。

「敵空母発見! 空母一、巡洋艦四、駆逐艦三」

 偵察員はそう言いながら無電で一航艦に報告した。

「ずいぶん護衛が少ないな」
「東京が言ってきた通り、『エンタープライズ』を護衛して下がったんでしょう」
「おまけに沈んでもいるしな」

 第一次攻撃隊が経験したという猛烈な対空砲火は見る影もない。
 先の攻撃で対空砲に損傷を受けているのだろう。

「第一目標は『ホーネット』! その次に巡洋艦だ!」
「『ト』連送、打ちます!」

 翼を振って友永機が高度を下げる。
 艦攻18機はそれに続き、艦爆20機もそれぞれ攻撃態勢に入った。
 それに先んじて4機の零戦が対空砲を抑えにかかる。

「敵の対空砲に迷いがある」

 それは先の空襲の影響だった。
 巡洋艦は元より駆逐艦すら自分の艦を守るように射撃している。
 だからか、多くの攻撃隊が「ホーネット」への攻撃に成功した。

 まず攻撃したのは艦爆隊である。
 第一次攻撃隊と違って飛龍隊、蒼龍隊と一塊になって攻撃した。
 編隊での攻撃は先の機体の投弾結果を見て微修正できるので、徐々にその狙いが正確になってくる。
 「ホーネット」は見事な操舵で20機いた艦爆隊の内、6機までを投弾コースから外した。そして、投弾前に3機が対空砲火で四散する。
 だが、11機が「ホーネット」向けて爆撃に成功した。
 「ホーネット」は最初の4発までは見事に回避したが、5発目からは着弾と至近弾となる。
 命中した爆弾は飛行甲板を貫通した爆弾は格納庫や居住区などに到達してから爆発。
 艦内構造をめちゃくちゃに破壊した。

「やるな、艦爆隊」

 空母の巨体が震え、火柱と水柱に包み込まれた「ホーネット」を低空から見ながら友永は呟く。

「負けてられませんね!」

 偵察員が闘志を剥き出しにして応じた。
 エンジン音の中、耳ざとく声を拾ったようだ。
 艦攻隊は超低空を飛行し、プロペラが海面を叩きそうだった。
 実際に触れれば瞬く間に分解するだろうが、高練度の搭乗員で構成される飛龍艦攻隊は脱落なしでついてくる。
 上空から見れば風圧で波立った海面が、まるで航跡のように続いていることだろう。

「頑丈だな・・・・ッ」

 あれだけの爆撃を喰らっても、「ホーネット」は魚雷を回避するために舵を切っていた。

(後続は射点につけないか・・・・)

 巨体故に舵が効き始めるまで時間がかかったが、効いたら効いたで滑るように動いていく。
 9機の飛龍隊の内、後半9機は「ホーネット」への雷撃コースから外れると予想された。

「距離一〇〇〇!」
「魚雷投下!」
「投下!」

 800kgの魚雷が腹から落ち、ふわりと浮き上がりそうな機体を抑える。
 瞬間、機体脇を数条の機銃弾が通過し、1番機を粉々に打ち砕いた。しかし、3番機以降は投下に成功。
 5番機以降は別目標への攻撃に切り替えた。

「・・・・ッ!?」

 「ホーネット」の艦首スレスレを突き抜ける。
 そのすぐ上を蒼龍隊隊長機が通過した。
 飛龍隊と蒼龍隊で「ホーネット」を挟み撃ちにしていたのである。

「命中! 命中です!」

 戦果確認をしていた偵察員が歓喜の声を上げた。

「・・・・おお」

 操縦桿を引き上げながら後ろを振り返ると、「ホーネット」は複数の水柱に包まれている。
 友永機だけでなく、複数の機体が命中させたのだろう。

「あ、巡洋艦にも命中弾です」

 空母に攻撃できなかった艦爆や艦攻に襲われた敵艦も被弾した。

「大戦果・・・・だな」

 見た限り攻撃隊の損耗は大きくない。

「戦果確認は偵察機に任す。引き上げるぞ」

 早く帰るに限る。
 自分たちは艦隊の武器なのだから。




 二航戦による第二次攻撃の戦果は以下の通りである。
 空母「ホーネット」着弾四、至近弾三、魚雷五。
 重巡「ニューオーリンズ」着弾二、魚雷二。
 駆逐艦「モナハン」着弾一、「フェルプス」魚雷一。
 攻撃隊の被害は艦爆3機、艦攻3機が未帰還、艦爆4、艦攻3が損傷により廃棄。
 敵戦闘機の妨害がなかったにも関わらず、廃棄機体を含む損耗率は艦爆35.0%、33.3%と大きなものだった。
 これは珊瑚海海戦でも指摘されている九九艦爆、九七艦攻の防弾性の低さが原因と考えられる。
 航空本部はこの戦訓を重く受け止め、航空機の防弾化をより一層進めていくこととなる。




「―――『ホーネット』・・・・」

 午後1時15分、第17任務部隊。
 戦果確認のためか、1機の日本軍機が艦隊上空を占有する中、スプルーアンスはヘビーパンチに打ち据えられた空母を呆然と見ていた。
 飛行甲板前部に2発、中央に1発、後部に1発の爆弾が命中。
 右舷前方と後方に1発ずつ、左舷中央2発、後方に1発。
 機関室が浸水して出力停止、航行不能。
 それどころか電力供給が絶たれ、排水ポンプの不動によって浸水が止められない。
 大小5つの喫水下破孔はその面積を広げつつ、勢いよく海水を呑み込んでいた。

「『ホーネット』で総員退艦命令が出されました」
「・・・・そうか」

 どうしようもないのだろう。
 「ホーネット」首脳部にできるのは、一兵でも生き残らせることだけだ。

「『アトランタ』に救助へ向かわせろ」

 普通なら駆逐艦の「カンニンガム」を向かわせるのだが、「モナハン」、「フェルプス」が相次いで被弾している。
 それも僚艦とも総員退艦命令が出されており、その救助に「カンニンガム」が向かっていた。

「あ、『モナハン』沈みます」

 250kg爆弾を艦後部に喰らっていた「モナハン」が、その命中個所の前後で割れて沈んでいく。

―――ドンッ!!!!!!

「「「―――っ!?」」」

 呆然とその光景を見ていた第17任務部隊の司令部員たちは、反対方向で鳴り響いた轟音に振り返った。

『「ニューオーリンズ」で大爆発! あ、ああ・・・・』

 見張り員が言葉を発せなくなるような光景が展開される。
 排水量9,950tを誇るその艦体が真っ二つとなった。そして、噴き上げていた黒煙を白煙に変えながら沈んでいく。
 その腹の中にまだ数百の将兵を載せながら。

「・・・・第二次攻撃隊へ通達。『空母喪失につき、ミッドウェー島へ向かえ』」
「・・・・はっ」

 まだ第二次攻撃隊から情報は入ってきていない。
 だが、確実に言えるのは、彼らの巣はこれから冷たい海の底に沈むということだった。

「敵偵察機、発信中」

 その内容は「巡洋艦一、駆逐艦一撃沈確認、『ホーネット』、駆逐艦一撃沈確実」だろうか。
 偵察機は発信を終えると未練を残すように何度か艦隊上空を旋回して飛び去った。
 燃料が限界だったのだろう。

「・・・・我々は北東へ退避。『ペンサコーラ』は18kt/h以上の速力発揮への見込みが立たないのであれば雷撃処分だ」

 それを見届けたスプルーアンスがこう命じた。

「司令、それは・・・・」

 「ペンサコーラ」は先程6kt/hへ回復したばかりである。
 推進器が魚雷の衝撃で故障しており、全力発揮は不能。
 一時期水没した機関室も復旧中で、18kt/h以上に回復するには工作艦の助けがいるだろう。
 つまり、スプルーアンスの命令は事実上の「自沈命令」だった。






「―――よし、勝負はこれからだ」

 同時刻、連合艦隊旗艦・戦艦「大和」。
 ここでは第二次報告の戦果確認のために残っていた二式艦偵の報告に湧き上がっていた。
 参謀長・宇垣少将ですらかすかな笑みを浮かべ、先の言葉を呟いて自らの手帳に何かを書いている。

「これで邪魔者はいなくなりましたね、長官」
「ああ」

 空母「ホーネット」撃沈確実。
 これが皆を喜ばせている情報だった。

「明日にもう一度ミッドウェーを空爆すれば攻略部隊を向かわせましょう」

 作戦日程に変更はない。
 しかも、出てきた敵機動部隊を撃破するというおまけつきである。
 「赤城」と「加賀」の被弾は予想外だったが、被雷はない。
 沈みはしないだろう。
 司令部の楽観はこのような判断から来ていた。

「東京より一航艦周辺の無線転送あり。・・・・・・・・・・・・『敵攻撃隊来援』」
「大和田はよく仕事をしていますね」

 報告を聞いた首席参謀・黒島大佐が満足そうに頷く。

「ああ、組織改編をしてよかった」

 山本も大きく頷いた。
 嘉斗の抑え込みにも成功し、嘉斗が持つ情報網を利用した情報収集もうまくいっている。
 いいこと尽くめだ。
 後は実戦部隊が戦果を上げればいい。

「長官、攻略部隊の第三・第四・第五戦隊、二水戦をミッドウェー島に向かわせ、艦砲射撃を実施しては如何でしょうか」
「うむ。今日の戦闘で航空機に被害が出ている。その穴埋めを艦砲射撃でするのは良い案だな」

 黒島の提案に宇垣が賛成した。
 黒島が言った戦力は戦艦二、重巡五、駆逐艦十一、計十八隻だ。
 絶大な威力を誇るだろう。

「よし、攻略部隊へ通達しろ」

 一航艦の上空では日米両航空隊が激突している。
 だというのに、連合艦隊司令部はその次のために動いていた。









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