新生・海軍省軍令部第三部


 

 海軍省軍令部。
 海軍版参謀本部であり、その内は第一~第四部まで存在した。
 太平洋戦争開戦当初の下部機関は以下の通りである。

 第一部:作戦担当【第一課(作戦・編成)、第二課(教育・演習)】。
 第二部:軍備担当【第三課(軍備・兵器)、第四課(出動・動員)】。
 第三部:情報担当【第五課(米大陸)、第六課(中国)、第七課(ソ欧)、第八課(英欧)】。
 第四部:通信担当【第九課(通信計画)、第十課(暗号)】。

 また、軍令部長直轄としての特務室(旧第十一課)、臨時戦史部が存在していた。
 因みに第十二課(防備・通商保護)が発足したが、"すぐに"海上護衛総司令部に職務が編入されて消滅している。
 1942年、これを大きく改編した。
 それを指示したのは海軍三長官である。
 海軍大臣・嶋田繁太郎。
 軍令部総長・永野修身。
 連合艦隊司令長官・山本五十六。
 しかし、その裏には独断で諜報活動に精を出す、とある青年将校の抑え込みが目的とされていた。






情報戦scene

「―――新生・特務室長、おめでとうございます」

 1942年5月16日、嘉斗は軍令部特務室を訪れていた。
 目の前の執務席に座るのは、引き続いて特務室長を務めることになった柿本権一郎少将である。

「・・・・まあ、凄まじい兼職がなくなって清々している」

 柿本は久しぶりに会った嘉斗に、ため息をつきながら言った。
 彼の前職は長ったらしい。
 軍令部の幹部は、兼職が平気で3つや4つもあったのだ。

「役職数の割に人が少なかったですものね」

 彼の前職は軍令部特務班長兼第一連合通信隊司令官兼大本営通信部特務班長である。

「ああ。だが、今回の改編で人員増が認められたことが大きい」

 おかげで開戦前の数倍になっていた。

「そっちも大本営特務参謀は解任されたらしいな、高松」

 真珠湾攻撃時の大本営にも席を持っていた柿本は、当然大本営特務参謀だった嘉斗の同僚だった。
 まさか択捉島に激励に行き、そのまま艦隊に同行するとは思っていなかったが。

「今は横須賀航空隊教員兼軍令部員です」
「その兼用が信じられんがな」
「ちゃんと仕事はしていますが、教員の方が隠れ蓑ですからね。・・・・兄上への」

 柿本の苦情に怯むことなく返答した嘉斗に再度ため息をつき、彼を来客ソファーに促した。

「で? 何のようだ? 高松"特務室第四課員"?」

 公式な役職ではない名で呼ばれ、嘉斗は笑みを深くする。

「いえ、この地位を秘密裏に、ですが、正式に与えてくれたことの感謝と打ち合わせに」
「あんまり自由にさせるより、手綱を握った方がいいと思ったからな」

 柿本も執務机の前から嘉斗の前のソファーに腰を下ろし、"砲術科"の後輩を見遣った。
 軍令部の大改編は主力とも言える第一部、第二部には及んでいない。
 ほとんど第三部と第四部の統合と職務内容分離を目的としていた。
 といっても、所属部員が大幅に増員した以外、表面上はほとんど変わっていない。
 第三部の第五~第八までの担当域は変わっていないし、第四部の第九課、第十課もだ。
 ただ、軍令部総長直属の特務班が大きく生まれ変わった。
 特務室は主に情報収集の実戦部隊として位置づけられ、通信傍受を始めとしたあらゆる手で調べ上げた情報を、第三部各担当域課に知らせ、各担当はその情報を元に敵状把握・考察を実施する。
 通信担当の第四部は情報収集から離れ、防諜の方にシフトした。
 第九課は徴募船の正午所在位置通信を止めさせ、連絡方法の研究と改変を行う。
 第十課は新暗号と暗号機器の開発を行う。

「しかし、第四課を新設ですか・・・・」
「既存の課に対応できる部署がなかったからな」

 以前の特務室は3つの部署に分かれていた。
 第一課(総務・企画)、第二課(暗号解読)、第三課(大和田通信隊)。
 大和田通信隊は、軍令部の敷地にはなく、武蔵野台地中心に建てられた大規模通信基地に展開している。
 1937年にアジア太平洋地域の無線受信および傍受目的で建設され、海軍の気象通信所としても使用された。
 その性能は素晴らしく、真珠湾攻撃の成功を伝える電信「トラ・トラ・トラ」を直接受信している。

「特務室第四課、『実働』ですか」

 情報収集を生業とする部署が持つ実働部隊。
 端的に言ってしまえば、スパイ活動を行う実戦部隊である。
 実力行使で敵の情報を得たり、罠に嵌めたり、挙句の果てには敵国要人の暗殺までやってのけることが期待されていた。
 そして、公式には存在しない部署でもあった。
 第四課に属している要員のほとんどは同名の軍令部第二部第四課所属となっている。
 軍の出動と動員を司る部門では、各地を転々としていても不思議はない。
 さらに名称的に防諜が効いている。
 他には嘉斗のように軍令部員という立場だったり、第三部の各課に名前があったりした。

「まあ、今更実働部隊を設けずとも、殿下が編成していた部隊を用いるだけですが」

 言葉遣いを皇族に対するものに変えた柿本はジト目で嘉斗を見る。

「僕は"彼ら"とは何の関係もありませんよ」

 柿本が言った部隊。
 嘉斗が言った彼ら。
 それは開戦前に嘉斗がそれぞれの国に返した外国人孤児たち。
 通称、"R.E.S.T."のことだ。

「全く、手綱も握っていないのか」
「だから、関係ないんですってば」

 再度柿本に否定し、彼の従兵が入れてくれたお茶を口に含んだ。

「まあ、向こうも向こうで自由にしているようだが」
「? 何かありましたか?」
「・・・・知らないのか? 大戦果だぞ?」
「僕は彼らに何も強要もしていませんから」
「・・・・・・・・・・・・あれが組織の援助もなく、個人で起こしたことだというのか・・・・」

 嘉斗の軽い口調に三度ため息をつき、柿本は端的に結論を述べた。

「貴様の子飼いが五大湖で訓練中だった空母を沈め、乗員や搭乗員多数を葬った」
「空母を? というか、五大湖でですか?」

 五大湖はいくつかの運河を経て大西洋と繋がっているとはいえ湖だ。
 空母のような大型艦を敢えて五大湖に持っていく意味が分からない。

「ロング・アイランド級。・・・・商船改造空母だ」
「小型空母ですが・・・・。五大湖にいたのは防諜上の理由ですかね」

 ロング・アイランド級。
 ネームシップの「ロング・アイランド」と二番艦の「アーチャー」がいる。
 最大戦速16.5kt/h、搭載機は21機程度で、実戦には使用不可能だ。だが、船団護衛や航空機運搬などは可能だった。
 アメリカ海軍は来る空母大量配備に先立ち、搭乗員を大量養成している。
 その仕上げとばかりにこの空母で訓練していたらしい。

「沈んだのは『ロング・アイランド』だ。『アーチャー』はイギリス海軍が使用しているからな」
「どういった状況で?」
「船内で謎の爆発、その後、急速に艦尾から沈没、総員退艦命令後3分で沈んだ」
「それは・・・・」

 もはや轟沈の域だ。
 多数の兵が犠牲になっただろう。

「詳細は分からんが、大型空母1隻分の航空機搭乗員を失ったようだ」

 搭載機数は20機程度だが、訓練のために3~4倍分の搭乗員がいたらしい。
 沈没時間は訓練終了後の夜間。
 ほぼ全ての搭乗員が寝ている間に起きた轟沈。
 教官や訓練生合わせて158名が死亡していた。

「・・・・珊瑚海海戦ではどの程度でしたか?」
「発表はともかく、搭乗員の損害よりは若干多いのではないかの」
「若干、ですか・・・・」

 ここで訓練搭乗員を多数喪ったことは、アメリカ海軍にとって大きな打撃なことは間違いない。
 とはいえ、珊瑚海海戦でこちらも痛手を被っている。
 現在は機体性能の優劣と搭乗員の練度で空中戦は有利だが、搭乗員の数では近い将来確実にひっくり返される。
 その期日がやや延びたというのは朗報だった。

「そう言えば、珊瑚海海戦の戦訓のまとめは?」
「すでに臨時戦史部がしているよ」

 柿本は同じ建物の臨時戦史部室の方に視線を飛ばした。

「・・・・ところで高松中佐」
「何でしょう?」
「貴様は山本大将と個人的な友誼を結んでいたな?」
「・・・・まあ、たまに食事をするくらいには」

 情報のプロに隠し事をしても意味はない。
 嘉斗は素直に頷いた。

「実は、大和田通信所から連絡があってな・・・・」

(なんか、めちゃくちゃ情報貰っていませんかね、僕)

 皇族ゆえの押しの強さと本人のフットワークの軽さを評価され、柿本自身も海軍を動かそうとしているのだろう。
 そう考えた嘉斗だったが、柿本から知らされた情報に思わず呟いた。

「馬鹿じゃないですか、その通信員」
「うむ。そう思ったから、第四部に言って左遷させた」


 何があったのか。
 それは数日遡り、そして、米軍側から語ることにしよう。



「―――電信、来ます」
「うむ」

 1942年5月11日、ハワイオアフ島のレイトン情報班の一室で、ひとつの実験を実行しようとしていた。
 パートナーはミッドウェー島無線室と大日本帝国艦隊通信部門である。

(失敗して当然、成功すれば大成果。ノーリスクハイリターンとはこのことだ)

 そう考え、眼鏡のブリッジを押し上げたのはエドウィン・レイトン海軍中佐だった。
 彼はあの真珠湾攻撃において、当時の太平洋艦隊司令部の生き残りである。
 本来ならば左遷されてもいいのだが、新司令官として就任したチェスター・ニミッツ海軍大将(2階級特進)が残留を命じた。
 レイトン本人としては、駆逐艦の艦長を望んだのだが。

「安心したまえ」
「はっ」

 レイトンは傍に立つ作戦発案者のジャスパー・ホームズにそう語り掛ける。
 彼自身が諜報部にいたとはいえ、ただの思い付きが、太平洋艦隊司令官が許可するとは思っていなかった。
 顔面を蒼白にして直立不動の体勢を維持する青年から視線を離し、こちらも緊張している電信員の後頭部を眺める。

(私も緊張していますか・・・・)

 成功すれば、あの悪魔のような日本海軍の尻尾を掴めるのだ。

「来ました!」
「読め」
「はっ。『発ミッドウェー島、宛ハワイ太平洋艦隊司令部、海水のろ過装置の故障により、飲料水が不足しつつあり』」

 緊急電の割には解読が早い。

「・・・・作戦通り、暗号ではなく、平文です」

 それも当然、暗号化を指示されていなかったのだから。

「―――っ!? 日本軍の通信を傍受!」

 電信室が慌ただしく動き出す。


「『―――AFは真水不足という問題あり、攻撃計画はこれを考慮すべし』」




「―――つまり、『AF』とはミッドウェー島のことだったのだね?」

 数十分後、太平洋艦隊司令長官室で、レイトンは司令長官・チェスター・ニミッツ海軍大将に報告していた。

「間違いありません」
「・・・・なるほど」

 米海軍は真珠湾攻撃直前に変更された日本海軍の戦略暗号"D"――米軍名、JN-25――を1942年4月の時点で断片的に解読していた。
 この時点で日本軍が大規模作戦――第二作戦――を企図していることが判明している。そして、5月になると作戦目標が「AF」であることまで突き止めたのだ。
 また、「A」、「AO」、「AOB」がアリューシャン方面だということはすでに分かっている。
 この「AF」を、アメリカ統合参謀本部はハワイ、陸軍航空隊はサンフランシスコと考えていた。
 他にもアラスカ、サンフランシスコとは別の米本土西海岸だと考える者もいたが、その考えに根拠はない。
 この論争に終止符を打つことなく、いたずらに時を過ごしているだけだった。
 これでは防衛態勢もままならない。
 そんな状況を打破するために行われたのが、先の「ミッドウェー島の水不足誤報」である。

「日本はまんまと引っかかったわけだね」
「はい」

 レイトンはこれまで分かっている情報を整理した内容を告げていく。
 当然、「AF」がミッドウェーであること以外はニミッツも知っていることだった。
 だというのに、彼の表情は優れない。

「如何されましたか?」
「いや・・・・ミッドウェーに来るのは、ナグモだろう?」
「おそらく、動員規模から見ても明らかです」
「・・・・ううん、そうか」

 ニミッツは唸り声を上げた。

「こちらの準備が整うかが勝負か・・・・」
「空母、ですか・・・・?」

 現時点で米海軍が投入可能な空母は、「エンタープライズ」、「ホーネット」だけだ。
 「レキシントン」はつい数日前に沈んだ。
 「サラトガ」はサンディエゴで修理中、「レンジャー」、「ワスプ」は東海岸だ。
 珊瑚海海戦で中破した「ヨークタウン」は現在も"サンディエゴへ回航中"である。

「真珠湾工廠が無事ならな・・・・」

 昨年12月に破壊された真珠湾工廠は現在も修復中だった。
 軍港設備や港湾設備、飛行場を重視したためにこちらの修理が後回しになっていたのである。
 また、修理資材の輸送も日本海軍の潜水艦に脅かされており、先日も物資を満載した輸送船が撃沈されていた。

「暗号解読の結果、日本海軍の『翔鶴』は沈んでいません」
「だったな。そうなると敵戦力は『赤城』、『加賀』、『飛龍』、『蒼龍』、『翔鶴』、『瑞鶴』の6正規空母か・・・・」

 大型空母4、中型空母1、小型空母1だ(米軍は「蒼龍」を小型空母と認識していた)。
 400機以上の運用が可能ではなかろうか。

「辛い戦いになるな」
「ですが、もう負けるわけにはいきません」
「当然だ」

 強大な日本海軍に、サンドバックのように叩かれるのはもう終わりだ。
 そんな意志を込め、不屈の闘志を抱くふたりの軍人は決意を新たに頷きあった。




「―――敵空母部隊がいる?」
「そりゃあ、ホンマかいな?」

 1942年5月27日、第一航空艦隊が呉軍港を出港する時、嘉斗は同期・源田実中佐と淵田中佐と会っていた。

「珊瑚海でひよっこの五航戦がやったんやろ?」

 珊瑚海海戦。
 ニューギニアのポートモレスビーを奇襲攻略することを目的としたMO作戦中に生起した、史上初の空母対空母の海空戦だ。
 日本海軍は小型空母「祥鳳」、駆逐艦「菊月」と航空機多数を喪失したが(さらに空母「翔鶴」大破)、アメリカ軍も空母「レキシントン」、「ヨークタウン」、駆逐艦「シムス」、給油艦「ネオショー」を失っているはずだ。

「撃沈できたのは『レキシントン』です。また、その後の通信傍受から、『ヨークタウン』は存命の可能性が高い」
「ホンマか?」
「それでも復帰は難しいだろう。となると敵空母は『エンタープライズ』、『ホーネット』か・・・・」

 淵田は軽く驚いたが、源田は沈んでいなくとも被害甚大故に今回の作戦には間に合わないと判断した。

「因みに『サラトガ』も生きています」
「な・・・・」

 本年初めに潜水艦が撃沈したと報告した空母だ。

「珊瑚海海戦でアメリカ軍も空母を集中配備していることが確認されました」

 残る空母「ワスプ」、「レンジャー」は大西洋配備だ。
 よってミッドウェー近海ではミッドウェーの航空隊は元より、米正規空母3隻の航空機を相手にしなければならないだろう。
 合計で300機以上。
 いや、400機に届くかもしれない。

「厳しいな」

 日本海軍は正規空母4隻を投入予定だ。
 空母「鳳翔」、「瑞鳳」も同行するが、後方の主力部隊と攻略部隊の防空が任務である。
 ミッドウェー配備予定の航空隊を合わせても350機だ。

「だが、こちらは奇襲だぞ?」
「・・・・いえ、バレてます」
「・・・・何?」

 源田の言葉に、嘉斗は呆れた声で言った。

「昨日、呉に着いた瞬間、軍港の職員に言われましたよ。『次は南方でハワイ諸島らしいですね』って」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
「真珠湾の時のように開戦劈頭じゃないんです。アメリカも情報収集しています」

 「事実、通信傍受の結果、米軍の動きが活発しています」と嘉斗は続ける。

「元々、こちらでも敵空母の存在を予想してはいるが・・・・」
「奇襲が前提だったからな」
「そもそも奇襲を前提とした作戦立案に問題はありますが・・・・」

 それを一介の参謀に言っても仕方がないと思った嘉斗は言葉を止め、別の言葉を放った。

「とにかく、米空母はミッドウェーで待ち受けています。珊瑚海の戦訓を忘れないでください」

 索敵の強化、攻撃の集中だ。

「搭載した電探、機内無線をどれだけ活用できるか、だな」
「実、美津雄、頼みますよ」
「ああ、うちらがやられるわけにはいかん」
「俺たちは帝国海軍最精鋭だ。安心して見ていろ」



 1942年5月27日、南雲忠一中将直卒の第一航空艦隊が呉軍港柱島を出港した。
 その戦力は以下の通りだ。

 第一航空戦隊:空母「赤城」、「加賀」、艦載機182機。
 第二航空戦隊:空母「飛龍」、「蒼龍」、艦載機148機。
 第三戦隊:戦艦「榛名」、「霧島」、水上機6機(第2小隊)。
 第八戦隊:重巡「利根」、「筑摩」、水上機12機。
 第九戦隊:軽巡「北上」、「大井」。
  (忠実では第一艦隊所属、また、この物語では防空軽巡に改造済)
 第十戦隊:軽巡「長良」、水上機1機。
  第四駆逐隊:駆逐艦「嵐」、「野分」、「萩風」、「舞風」。
  第十駆逐隊:駆逐艦「風雲」、「夕雲」、「巻風」、「秋雲」。
  第十七駆逐隊:駆逐艦「磯風」、「浦風」、「浜風」、「谷風」。
 戦艦2隻、空母4隻、軽巡3隻、駆逐艦12隻、計21隻。
 艦載機330機、水上機19機、計349機。


 2日後、山本五十六大将が直卒する主力部隊および攻略部隊が出撃した。
 その戦力も以下に示す。


 主力部隊(忠実では連合艦隊と第一艦隊に分割、この物語では統一)。
  第一戦隊:戦艦「大和」、「長門」、「陸奥」、水上機13機。
  第三水雷戦隊:重巡「熊野」、水上機3機(忠実では軽巡「川内」)。
   第一一駆逐隊:駆逐艦「吹雪」、「白雪」、「初雪」、「叢雲」。
   第一九駆逐隊:駆逐艦「磯波」、「浦波」、「敷波」、「綾波」。
  空母隊:空母「鳳翔」、駆逐艦「夕風」、艦載機21機。
  第二四駆逐隊:駆逐艦「海風」、「江風」。
  第二七駆逐隊:駆逐艦「夕暮」、「白露」、「時雨」。
  第二〇駆逐隊:駆逐艦「天霧」、「朝霧」、「夕霧」、「白雲」。
  特務隊:水上機母艦「千代田」、「日進」、水上機24機。
 戦艦3隻、空母1隻、水上機母艦2隻、重巡1隻、駆逐艦18隻、計25隻。
 艦載機21機、水上機40機、計70機。


 攻略部隊(護衛隊含み、忠実の支援隊は出撃なし)。
  第三戦隊:戦艦「金剛」、「比叡」、水上機6機(第一小隊)。
  第四戦隊:重巡「愛宕」、「鳥海」、水上機8機。
  第五戦隊:重巡「妙高」、「羽黒」、水上機8機。
  第二水雷戦隊:重巡「最上」、水上機3機(忠実では軽巡「神通」)。
   第一五駆逐隊:駆逐艦「親潮」、「黒潮」、「早潮」。
   第一六駆逐隊:駆逐艦「雪風」、「時津風」、「天津風」、「初風」。
   第一八駆逐隊:駆逐艦「不知火」、「霞」、「陽炎」、「霰」。
  第四水雷戦隊:重巡「鈴谷」、水上機3機(忠実では軽巡「由良」)。
   第二駆逐隊:駆逐艦「五月雨」、「春雨」、「村雨」、「夕立」。
   第九駆逐隊:駆逐艦「朝雲」、「峯雲」、「夏雲」、「三日月」。
  空母隊:空母「瑞鳳」、艦載機30機(ミッドウェー配備航空隊含む)。
  第一一航空戦隊:水上機母艦「千歳」、「神川丸」(特設)、工作艦「明石」、水上機20機。
   第八駆逐隊:駆逐艦「朝潮」、「大潮」、「満潮」、「荒潮」。
 戦艦2隻、空母1隻、水上機母艦2隻、重巡6隻、駆逐艦23隻、計34隻。
 艦載機30機、水上機48機、計78機。


 さらにこれに呼応して潜水艦主体の第六艦隊も動き出していた。


 第六艦隊本隊:軽巡「香取」、水上機1機。
 第八潜水戦隊:潜水母艦「愛国丸」(特設)、「報国丸」(特設)。
  潜水艦:伊15、伊17、伊19、伊25、伊26、伊174、伊175、伊122、水上機5機。
 第三潜水戦隊:潜水母艦「靖国丸」(特設)。
  潜水艦:伊168、伊169、伊171、伊172、伊9、伊123、水上機1機。
 第五潜水戦隊:潜水母艦「りおでじゃねろ丸」(特設)。
  潜水艦:伊156、伊157、伊158、伊159、伊162、伊164、伊165、伊166、伊121。
 軽巡1隻、潜水母艦4隻、潜水艦23隻、計28隻、水上機7機。

 戦艦7隻、空母6隻、水上機母艦4隻、重巡7隻、軽巡4隻、駆逐艦53隻、潜水艦23隻、工作艦1隻、潜水母艦4隻、併せて103隻。
 艦載機381機、水上機114機の計513機。
 もちろん、油槽艦などの補助艦艇、陸上兵力を載せた運送艦なども動員されている。
 これは当時の日本海軍の過半と言ってよく、整備状況や各地守備を考慮した上での総攻撃と言えた。
 だがしかし、先にも述べた通り、第一航空艦隊が先行し、残りの低速艦隊が追従していた。
 この距離は水上艦艇にとって遠く、後にこれが問題となる。



 何はともあれ、目指すのは米空母部隊が待ち受ける、ミッドウェーである。









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