2.3. 水軍


2.3.1. 兵卒
2.3.2. 艦艇

※※※※
太字を読めば要約可能
考察根拠は本文を参照
文末に引用・参考文献名も記載

 水軍とは主に大きな河川や沿岸部にて軍事的に行動できる集団を言う。
 海軍との違いは外洋航行力があるかないかであり、その性能は使用する艦船に竜骨(キール)を有するかで決まる。戦国時代の海戦にて勝敗を決するのは艦艇の撃沈ではなく、艦艇を使用する水兵の無効化である。このため、巧みな操舵法によって船を座礁させるなどの戦術が採られた。

2.3.1. 兵卒
2.3.1.1 水兵

 艦艇を動かし、合戦を行う兵。海兵とは違い、白兵戦能力を有し、足場不安定な船の上で戦う。陸地とは違い、揺れる船での戦いは困難であり、例え陸上でどれだけ強くても海上では彼らに敵わないことが多い。専門集団であり、彼らを大量に喪うと戦力を再建するのに時間がかかる。


2.3.1.2. 水夫
 水兵とは違い、船の操舵を担当する者。陸戦においては小者や中間に位置し、戦力とは見なされない。事実、甲冑は着けず、腰刀のみの武装。


2.3.2. 艦艇
 戦国時代には安宅船、関船、小早が一般的に使用された。それぞれの力関係は戦艦、巡洋艦、駆逐艦に相当するとされる。また、重要な戦力単位は関船からであり、厳密に言えば「軍艦」ではなかった駆逐艦との関連性もある。他に鉄甲船、胴突船などがある。


2.3.2.1. 安宅船
 一〇〇〇~二〇〇〇石積(約180~360t、ただし積載量。基準排水量はさらに大きい)の大型艦。船首から船尾まで総櫓に覆われており、そこから銃眼が開けられて射撃戦に従事する。船首は大砲を撃つために総櫓部分は平面である。
 三層構造であり、上甲板は水兵が主に展開して白兵戦に備える。二層目は射撃戦部隊が展開し、三層目には水夫が艪を用いる。
 人員及び兵器は水兵六〇、水夫八〇、大砲三、鉄砲三〇。


2.3.2.2. 関船
 五〇〇石積程度の船。安宅船よりも細長い船形をしており、速度が出せる。構造は安宅船と同じ三層構造。総櫓の装甲は安宅船よりは薄い。
 人員及び兵器は水兵三〇、水夫四〇、大砲一、鉄砲二〇。


2.3.2.3. 小早
 小型の関船を略した小型艦。ただし、総櫓ではなく、半垣造りと呼ばれる足を隠す程度の低い垣立しかない。偵察や伝令などに使われた他、他の船への乗り入れなどにも使われた。
 人員及び兵器は水兵一〇、水夫二〇、大砲〇、鉄砲八。


2.3.2.4. 同時期の欧州艦艇との排水量比較
 艦船の排水量を表す単位は石である。同時代のガレオン船も数百tの艦艇を使っていたことから、ガレオン船は一〇〇〇石台だったと推察される。江戸幕府が出した関船の建造限界要項は五〇〇石積(約90t)である。日本最大の和船「安宅丸」は八〇〇〇石以上と、過去に例を見ない大型艦であった。




引用文献:
石井謙治, 2011, 「水軍」, p16-17, 「戦略戦術兵器大全【日本戦国編】」, 学研パブリッシング

参考ホームページ:



経済力1へ  第一会戦 前哨戦第二陣へ