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2周年及び20000hit記念 SS
「・・・・ここはどこ?」 「さあ、とりあえず、また異世界とやらに飛ばされたようですね」 真っ白な空間にやや不安を滲ませた声と、やさぐれたような声が響く。 「ま、お久しぶりです」 「え、あ、はい。お久しぶり・・・・」 やさぐれた声の主――紗姫は隣に立つ少女――渡辺瀞に挨拶した。 それに思わず応じてしまうあたり、瀞の人の良さが分かる。 「あなた、武力ありますよね?」 「そうだね。一応、戦う【力】はあるよ」 「充分です。ならば、きっとどこかで私たちを見ている方々をぶっ殺してください」 「え、ええ!?」 無茶苦茶を言う。 「大丈夫です。私に危害が及ばぬよう、全方位攻撃をして下さい。私の感覚ではこの空間はそう広くはありません」 「うーん、だったら浄化の【力】を使えばなんとかなるのかな・・・・?」 体内から聖剣・<霊輝>を取り出した。 『―――待て待て待てぇっ!!!』 『そうだ! そんなことしたらくろが消えてしまうだろ!』 『そうだそうだ! って・・・・え?』 『どす黒いから「くろ」。つまり、浄化の【力】を放射されれば・・・・・・・・』 『き、消え・・・・って、消えんわ!?』 『チッ』 虚空からいつか聞いたことのある馬鹿なやりとりが聞こえてくる。 焦っているのか遊んでいるのか分からないやりとりは死線――だったのか?――でも変わらなかった。 「何の用ですか?」 「そうです! やっと囚われの身から解放されたのに!」 今まさに虚空に<霊輝>を突き刺さんとする瀞は、せっかく訪れた一哉を見返すチャンスに水を差されてご立腹のようだ。(アップ時、蒼炎は第十二章第一話) 『まあ、君たちに共通したことでちょいと呼んだんよ』 「・・・・・・・・・・・・なら、致命的に足りない人物がいますが?」 『藤丸は今や藤丸勢にとってなくてはならぬ人物。役立たずではない』(アップ時、龍鷹は第三戦第一陣) 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・それなら、私は龍鷹侯国になくてはならない人物なのですが・・・・」 『まあまあ』 「なんておざなりな・・・・」 『さあ! やって参りました、ダブル記念!』 『二周年と二万ヒットの「2」でダブルとか安直だな、忠顕さんや』 『うっさいわ!』 くろいろひろの茶々を叩き潰した忠顕は先を続ける。 『ってわけで、誰かさんが磔にされているトップ絵を交換したいと思います』 「結局、あれって誰なんですか?」 「さあ、いろいろ諸説あるらしいけど」 『因みに俺自身も知らない』 「「おいおい・・・・」」 『おーい、くろ。カメラ用意して』 「かめら?」 可愛らしく小首を傾げる紗姫。 さすがにファンタジーとはいえ、戦国風なのでカメラの存在を知らないらしい。 「って、何してるんですか!?」 いつの間にか瀞たちの前に現れていたくろは何故か寝転んでカメラを構えていた。 「チィッ、スカートが長かったゼ」 「―――っ!?」 バッとワンピースの裾を抑えて後退る瀞。 「あ、あのあなたも下がらないと撮られるよ?」 「何をですか?」 再びきょとんとする紗姫。 瀞のスカートは足首少し上までの丈があるが、この空間では真下からの突風があってもおかしくない。 因みに紗姫は一般的に見られる巫女装束と同じく白衣に緋袴姿だ。 それも行灯袴ではなく、昔ながらの襠ありである。 「え、えっと・・・・だから、その・・・・袴の下に穿いているのとか・・・・」 だんだんと赤くなり、口調もごにょごにょしたものになったが、どうやら伝わったようだ。 「ああ、なるほど」 くいっと前の袴を掴んで少し上げてみせる。 「おお! って、見えるか!?」 いくら上げられたとはいえ、数センチでは見えなかったらしい。 「ふ、馬鹿ですね」 袴を元の長さに戻し、「はわはわ」と言って顔を赤くしている瀞の下へと歩き出した。 「ああ、もっとも」 くるりと首を巡らし、寝転がったままのくろを見下ろす。 「ご所望のものは、私は穿いてませんけど」 「ブフッ」 「ああ、確かにそんな世界だなぁ」 寝転がったまま地面を朱に染めていくくろを無視し、忠顕は虚空から姿を現した。 「とりあえず、第二代目トップ絵のテーマは『2』」 「に、『二』周年、『二』万ヒット、『二』作品の『二』人のヒロインで、『V(2)』サインを・・・・もはやネタとしか思えないかぶり方・・・・」 「復活したか」 「ふ、あの程度、軽い軽い」 「うん、まずは鼻血拭け」 「おおう。地面に殺人現場の如く血の海が広がっている」 くろは他人事のように自分の出血を認め、そして、噛み砕いてカメラを構える。 「と、いうことで、記念撮影といこうか、お嬢さん方」 にやにやと笑うくろは先程からかわれた紗姫を見て言った。 「はぁ〜。まあ、所詮、この空間であなた方に敵うはずがありませんからね」 「いい度胸だ」 「ま、今度私の世界に来てください。きっと私に会う前にその辺りの追いはぎに殺されますから」 「ひでぇ!?」 「ああ、確かにそんな世界だなぁ」 「あの、話進めませんか?」 意外とテンポよく会話を続ける紗姫に驚きながらも瀞は先を促す。 「おっと。またぐだぐだに走るところだった」 「すでにショートストーリーなのにA4で3ページに達してるがな」 「甘い。会話文と地の文を一行開けるからそれ以上だ」 「「先、進めて下さい」」 「「・・・・はい」」 やっぱりダメなふたりだ。 「あー・・・・じゃあ、撮るんでピースサインし・・・・おや?」 今度は普通にカメラを構えたくろは首を傾げた。 「どした?」 「・・・・同じフレームに収まらない」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 瀞は紗姫を"見下ろす"。 瀞は身長150cm台前半だが、紗姫はさらに頭ひとつ分小さい。 センチメートル法で言えば、120cm台ではなかろうか。 「仕方がない。瀞よ、しゃがんでひとつのフレームに収まって」 「う、うう。この写真がトップに飾られるんですよね?」 「はぁ・・・・めんどくさい」 再び瀞が不安そうに、紗姫がやさぐれてしまった。 「紗姫さんや。笑顔笑顔。公の場では作り笑顔とかしてるんでしょ〜」 「失礼な。公の場ではしっかりと無表情で威厳を保っています。・・・・こんな感じですか?(にっこり)」 「うわ、何、この完璧な笑顔!? これが作り物って怖ろしい!?」 「うるさいです(にっこり)」 「恥ずかしいよ〜」 完璧な作り笑顔を浮かべる紗姫とは対照的に、瀞は顔を紅潮させている。 「ええい、この際笑顔なんざどうでもいい。くろ、やれ」 「ちょい待て。私の努力は―――」 「うい」 ―――パシャリ |